ツール・ド・ちば2007 総括(後編)(2)
待ちに待った、いや不安の気持ちが優っていたようにも思える。
そんな複雑な出走の瞬間がやってきた。
スタート。
ヒロ、私、タカピーの順で出発。
50人ほどの群で緩やかに。
20-25kmチームなので、やはり22〜24kmぐらいの巡航だったか。
群れの先頭と後尾には指導員が。
某ファストフード店の制服3人が軽快に漕ぐ。
私でさえ、全体の流れが遅く感じ、もっとかっ飛ばしたい衝動に駆られていた。
ヒロ、タカピーの心境たるや、私以上のものがあっただろう。
しかし考えてみると、これはとても大事なことのように思える。
私のような体力のない、しかしすぐに調子づく人間が前半で体力を使い切って、リタイヤすることを防いでいたのだと思う。
信号により群が分断されると停止して合流を待つ。そんな行きつ止まりつがしばらく続く。
出発は海岸沿いであったが、すぐに内陸方面に進路を変えた。
あたりは見る見る田園が広がっていく。
青々とした稲を見て、
「もう9月も半ばなのにこんなに青くて米は出来るのかな」
なんて思う余裕もあった。
しばらく進んでいくと、沿道で農家のおじいちゃんおばあちゃんや、ちびっ子達、続々と応援で立っていた。
がんばれがんばれーー!と満面の笑みと、大きなアクションで手を振る姿を見て正直驚いた。
全く考えていなかった。こういう応援があるなんて。
応援してくれる人たちはどんどん増えてくる。町を挙げての応援イベントのようだった。
私は何かヒーローにでもなった気分で、負けないような大きなリアクションで応援に応えた。
ありがとうございまーす!がんばりまーーす!
すると前方にはっぴ姿の大勢の人たちが、太鼓を叩いて大応援をしている!
今だから正直に言うと、ちょっとだけ涙が出た。本当にちょっとだけれど。
前にも書いたが、スポーツに打ち込んだことが無い私は、勿論応援をされるような経験もほとんどない。
初めてかな。たぶん。
まだ走り始めて十数kmというところか。まだまだ序盤ではあるが、本当に感動した。
しかし。
まだまだ序盤、あと100kmも残っていると言うのに、ここでもう転倒!!
応援してくれる方々にばかり意識がいっていて、ヒロの自転車に接触してしまった。
早くも左足のスネ前面広範囲の擦過傷、左膝若干の裂傷、左腕打撲及び擦過傷。派手にやった。
これで群から漏れた。ヒロ、タカピー、その他前後に居た人たちはどんどん進む。
いやこれを薄情と取らないで欲しい。そこで数人が留まったら後発の群の障害になるので、この場合は進んでもらうのが正解だ。
でも私の嫌な性格があらわになる。ヒロの自転車のせいにしてしまう自分がいた。
なんで止まるんだよ。だからぶつかっちゃったんじゃん。なんて。
10歳も離れていて、しかも輪行袋に入れるのをほとんどやってくれて、この大会を見つけてくれて、申し込み手続き、ホテルの手続きまでしてくれたのに。
ホントごめん。
前にも書いたけど、こういう体力を使い続ける状況になると、自分は自分のイヤな性格を見つけてばかりで、実は少し落ち込む。
でもそれを嘆いても仕方ないので、それに言動で出してしまっているのは覆水盆に返らずなので。
だからちょこちょこ、ばれないように、細々分けて、ヒロ気づいていないかもだけど、本当に細々ちりばめて謝った 笑
さて群は遠くに行ってしまった。
丁度そんなとき、勾配地獄の幕が開けていたようだ。
信号待ちのとき、応援のおばちゃんが
「もうすぐね、大変な登りになると思うけど頑張ってね」
と声をかけてくれる。ドキッとした。
確かにこの道の向こうには、小高い山が見える。道はまっすぐその山に向かっている・・・。
来てしまった。