旅2日目

早朝4時半に目覚める。昨晩は暗くてよく把握できない町並みが、上りかけている朝日に照らされ、その全容を映し出していく。
ボーッと5分ほど見ていてからか、日の出を見たくて相方を無理やり起こす。
まだ間に合う!そんな気持ちで二人で急いで外出の準備。
5時ころ車に飛び乗る。

あちこち車で右往左往しながら日の出を探していると、ザンネン。すでに上ってしまった模様。
しかし昨日見た夕映えよろしく、綺麗な空模様を見ることができる。
6時に宿に戻り、また眠ってしまう。
7時に目覚める予定が8時に目覚めてしまい、急いで朝食を頂く。朝食はビュッフェスタイル。
それをペロリとたいらげ、部屋に戻ったのは9時ごろか。

昨晩のうちにまとめておいた荷物を持ちチェックアウト。この旅はスケジュールがビッシリだ。

この日もあいにくのドンヨリ。急いで納沙布岬へ行く。日本本州最東端といわれている岬である。
小雨にやられるも、むしろオホーツク海は雨が似合う。
おおきなうねりが、遠方にかすかに望める北方領土から押し寄せる。

日本固有の土地が今なおロシアに占領されている現実を、それまで客観視していたのだが、その荒海と合わせ見た途端に、主観に変わった。
国後島なんて、目と鼻の先だ。
近くの展望台に入ると、北方領土返還のための署名運動がなされていて、私も署名をする。
実際この旅の各所でこの署名ノートはあり、奪還への想いがズシンと心に響いた。

北方領土への想いはあるのだが、今の我々には旅行の日程をこなすのが先決だ。
納沙布から野付半島(ノッケ)へ移動する。

野付半島は、今までいた根室半島知床半島の中間地点にある、釣り針のような形をした半島である。
クルッと渦を巻くような形で海に飛び出しているそれは、ドライビングスポットとして鮮烈に心に刻まれた。
細い半島なので、その中央を道路が走っているのだが、左右に海が見える。
幅は100メートルほどか?かなり細い。

渦に沿うような形で道路が延びていて、野付半島の先端付近にトドワラという名勝がある。
そこが本日の観光ポイント。

トドワラには無料の駐車場があり、そこに駐車する。
干潟のような場所に湿地帯と草原が入り乱れる、そんな幻想風景のような場所だ。
駐車場からは、片道およそ1.5キロほどか、遊歩道のコースがある。
そこをテクテクいくのだ。遊歩道の両脇は、その地にもともと根付いている原生植物がたくさんある。
季節柄か、花はほとんどなく、ススキやハマナスといったような秋めいた植物が所狭しと生えている。

遊歩道といっても、実際は砂利道のような悪路で、1.5キロと言えども割りとヘトヘトになる。
ゴールまであと500メートルといった付近か、なんと馬車がこちらに向かってくる。
お金を払えば、その道程を馬車で楽しむことができるようだ。帰路は馬車を使おうと、相方と決める。

さてようやくトドワラのトドワラと言うべく、目的地付近に近づく。
トドワラとは、トド松の古木が湿地帯に無数に立ち枯れている、とても珍しいところである。
とてもSF的な、ドラゴンクエストにも出てきそうな風景であり、まことに壮観。
湿地帯の水が少ない部分には草が生い茂り、水が多い部分には水鳥が戯れる。そしてところどころ、真っ白になった古木が立ち枯れている。
実に良い。

また、不思議なのだが、海の浅瀬にポツンと石橋が残っている。トド橋と書いてある。
なにが過去にあったのかはわからないが、どれをとってもSFの世界である。世界に誇れる風景である。

ひとしきりトドワラを堪能し、帰路に着く。そう馬車の停留所を目指して!
行きに味わった微妙な疲労感を帰りは感じなくて済む、そう思っていた・・・。しかし・・・。
停留所にあと200メートルで着く、そんなときに馬車が発車してしまったのを見る。
仕方なしに停留所で次の馬車を待つ。・・・待つ。・・・・ずいぶん待つ。・・・・40分経過。

馬車来ず。

頭きたから、馬車用の馬車道をテクテクと帰る。こっちのほうがはるかに地ならしもされていて、歩きやすい。
行きよりも断然早く通過できた。

駐車場横にあるレストハウスで昼食を取る。相方は大漁ラーメン、私が野付定食(海鮮定食)である。二つで5千円近く。たまの旅なのでこのくらいの出費は厭わない。
しかし味はたいしたことがなくザンネン。
そう、このレストハウスで世の大きな出来事を知る。イチローの記録だ。殿堂入りは間違いないだろう、なんて思いながら車に乗る。

野付半島からの移動がまた遠い。次は国内最大級の大きさを誇るカルデラ湖。屈斜路湖である。
野付半島は行きで道の感じを大体つかめたので、飛ばしに飛ばす。あっという間に野付を出る。

屈斜路に着いたのは、、、20時頃だったか?寄り道寄り道しながらだから当然であるが。
北海道がすごいのは、もちろんトドワラのような観光地の絶景もそうだが、普通の農場やら、裏山やらが綺麗なのである。なにを見ても綺麗である。
そんな景色を楽しみながらの運転は、不思議と疲れを感じさせない。
次の景色、次の景色、と貪欲な気持ちになれるのである。

屈斜路は大きな湖だが、日が暮れているとナンノコッチャわからない。
屈斜路湖プリンスホテルに泊まる。
夕飯→温泉→24時ころ就寝する。